- 【名前】坂田秀夫
- 【性別】男
- 【年齢】39歳
- 【職業】自営業(小売業)
- 【住んでいる場所】徳島県板野郡
- 【借金額】400万+300万(夫婦)
- 【どこからお金を借りたか】アコム・プロミス・アイフル・三菱東京UFJニコス・信金・セゾン・セディナなど
- 【借金の理由】自営業の赤字やギャンブルによる生活苦から
- 【何を滞納したのか】携帯電話・テナント家賃・電気・電話
夢物語の現実はおもいもよらない形で幕を閉じる
私は自営業を営みながら大きな借金を抱えることになりました。
自営業者の借金というと事業資金のように思われるかもしれませんが私の場合はちょっと違います。
私が独立開業したのは30歳の頃で、独立資金は全てそれまでに蓄えた貯金でスタートしました。
サラリーマン時代には業績を伸ばす事に成功しており、自信満々の独立開業でした。
早々のご想像はつくかと思いますが、この独立の見込みや事業計画が非常に甘く、当初予定していた期間よりも赤字期間が長く続きました。
通常はここで事業資金の借入という形で国金(現在の政策金融公庫)などから、運転資金として融資を受けていれば話は違ったのかも知れないのですが、当時の私は資金繰りに無知だったために、生活費の補填として持っていたクレジットカードでキャッシングを始めます。
やがて手元のクレジットカードは上限に張り付き、増額を申し込むようになりました。
それもいつのまにか一杯になり、やがて家内のキャッシュカードでも借入をして貰う事に。
一時はそれでうまく回った瞬間もありました。
少し息抜きをしようと、久しく取っていなかった休日を設定し、家内とドライブにでかけたのですが、とても綺麗な外装の店舗を見つけました。
商売をするものとして人を惹きつける看板や店舗は勉強になり、業種を問わず気になった店舗は見学していました。
ただ、この度気になった店舗というのはパチンコ店でした。
私達夫婦は若い頃に嗜む程度にパチンコの経験はありました。せっかく来たから少し遊んでいこうと言う事になって、ハネモノのパチンコを打ったところ、勝ってしまいました。
パチンコ・パチスロにハマる典型的な入り口ですね。
それから私達夫婦は週に1度は休日を設け、いつの頃からか、休日にはかならずパチンコ屋にいくという習慣がついてしまいます。
勝っていれば問題ないのでしょうが、そうはいきません。
やがてだんだんと負けが込んできてギリギリ採算がとれだした事業の利益も注ぎ込み、いよいよ事業資金と家計の境目がなくなってきます。
そして足りなくなったら新しくカードローンを契約。
事業の利益では通常の生活をするのが精一杯。
借金を返す余裕なんてありません。
いよいよ借金を返済するために借金するというサイクルが本格化していきます。
そうこうしているうちに私の名義で400万、家内の名義で300万の借金になっていました。
雪だるま式という言葉の意味を体感しました。
二人合わせて700万もの借金を複数社から借りていると1ヶ月の至る所に返済日がちりばめられる結果になり、5日、10日、15日、20日、25日、月末、消費者金融にいたってはその間にいくつも差し込まれるといった状況。
それに加えて事業の仕入れ先への支払いなどが折り重なって、気の休まる時が無くなりました。
電気・電話、事業所の家賃など、1ヶ月程度滞納できるものはやり過ごした時もありましたが、翌月には2ヶ月分まとめて請求されるので何も解決されません。
気が付けば公共料金は何回まで滞納しても止められないかとか、管理会社に家賃を待って貰うイイワケばかり考えるようになって、事業への取り組みも十分に行えない状況にってきます。
そして、とどめのような出来事が、同じ商圏に大手資本の大型店が進出してきました。
常連だと思っていたお客さんは次々と消え、どう考えても大型競合店に持って行かれています。
それまで自転車操業で首の皮一枚で繋がっていた状況はいよいよ限界を迎えます。
この時、独立から9年が経過した39歳でした。
生半可な営業をしたばかりにバチがあたったと思いましたし、回りの景色がまるで地獄のように思えました。
もう私が息をつける場所などないんだと。
競合店の進出から少しの間はなんとかあらがえないものかと、あがいてみましたが私が終わりを決断するのにそう時間はかかりませんでした。
もう限界、これ以上の継続は私は勿論、それ以上に家内の精神負担も重すぎる。
私は債務整理して出直す決心をしました。
任意整理や個人再生なども検討していたのですが、弁護士事務所で相談したところ、自己破産を進められました。
私も事前に債務整理について少し調べていたので恐らくそのような話になるのは薄々分かっていました。
少し家内と相談した後、弁護士事務所に自己破産の手続きを依頼しました。手続きにかかる費用などはすぐに支払えない状況でしたので、法テラスを利用し、毎月1万円ずつ支払う形で手続きをしてもらいました。
自己破産すると決めたからには一切の返済を止めるということなので、早々に弁護士に依頼しないと督促の電話や郵便物で溢れかえるはずです。
これまで督促という督促は全て私が受けるようにし、家内名義のものは一切滞納することなくやってきました。
家内には督促の電話など対応させたくなかったためです。
弁護士に債務整理を依頼した段階で一切の督促はできない決まりになっている事は事前に知っていましたので、家内名義の支払期限が超えないタイミングで依頼するという形を取りました。
弁護士に依頼してから、事業所をたたむ段取りを始めたのですが、取引先などの支払いも全て破産の対象になるので、各取引先への対応など細かく弁護士の方に指導して貰い、可能な限り当面の生活費を確保する工夫の仕方なども教えて貰いました。(私がコレは大丈夫かと質問して回答を貰う形でしたが)
幸いにも私の自宅は賃貸であったことや、自家用車が登録初年度より規定年数を超えていたため、財産としてはとらえられず、一切の家財を差し押さえられること無く手続きは進みました。
払戻金の発生する生命保険などは差し押さえの対象になるようでしたが、お金に困った段階で返納金目的で全て解約していたので差し押さえられるまでもありませんでした。
必要書類を提出した後、破産手続きの書類作成に関わる事で数回弁護士事務所に足を運び、数ヶ月後(2~3ヶ月だったでしょうか)に裁判の日を迎えました。
裁判はおもったより狭い部屋で、裁判官と他2名が待っていました。
そこに私と家内、弁護士の3名で入室、その場で少々の質問をされましたが、数十分であっけなく裁判は終了、その数ヶ月後(こちらも2~3ヶ月だったと)に免責が下りた旨が弁護士事務所より伝えられました。
私達夫婦の自営業という夢はだらしない借金のあげく自己破産という形で幕を閉じました。
多くの人に迷惑をかけておいておこがましいですが、全ての借金から解放された喜びは何とも言えないものがありました。
もう一度マジメにやり直すという気力が湧く事は勿論、お金の取り扱いを一歩間違えるととんでもない状況を招くという体験は今後の私達夫婦に大きな爪痕を残しました。
現在では普通の生活を普通に送っています。
自己破産したからといって特にコレといったデメリットは感じることはありません。
もちろん、借金はできませんし、ローンなども当分組めませんが、それだけです。
借金に苦しみ、悩みもがき、心身ともにボロボロになるくらいなら、救済措置として用意された債務整理を利用するべきだと、私は思います。
管理人からのコメント
事業をしているのであれば、借金はある程度しょうがないですが、クレジットカードやキャッシングなどの借金だと問題ですね。
金利が高いので、返済が難しくなります。
その結果として自己破産をすることになりましたね。
ただ事業の借金に苦しんで自殺を考える人がいるなか、この選択は賢明だと思いました。