- 個人再生の認可の条件とは何なのか?
- 個人再生の再生計画が認可されない場合とは?
- 個人再生の不許可事由とは何なのか?
など気になることがあると思います。
そこでこの記事では個人再生の認可の条件に付いて詳しく説明していきます。
1.個人再生の認可までの流れとは?
- 裁判所へ申し立てる
- (個人再生委員が選ばれる)
- 申し立て手続きの開始が決定する
- 業者などから債権の届け出が行われる
- 再生計画案を作り提出する
- 再生計画案が認められる
個人再生が受理されるまでの流れは上のようになっています。
それぞれについて詳しく説明していきます。
・個人再生の流れ1:裁判所へ申し立てる
個人再生は債権者とのやり取りだけで行えるものではなく裁判所を利用する必要があります。
裁判所を利用するという手間がありますが、これによって借金を法律で定められている金額まで減らすことができるのです。
借金の減額される金額が最大で90%と非常に大きいので、大変かもしれませんが、裁判所へ個人再生の申し立てを行いましょう。
・個人再生の流れ2:(個人再生委員が選ばれる)
個人再生委員が選ばれると、申立人の財政や収入の状況を調査します。
その調査結果をもとに個人再生手続の認可が決定します。
基準はある程度決まっているのでその基準内かどうかは申し立てをする前に調べておくことをお勧めします。
そのほかにも、再生計画案作成の助言を行ってくれます。
場合によっては、個人再生委員は選ばれないこともあるのでカッコを付けています。
・個人再生の流れ3:申し立て手続きの開始が決定する
手続きを開始する要件がそろっていることが確認されれた段階で開始が決定します。
申し立ての段階で要件が揃えれば、申立直後に決定することもあります。
申し立てに必要な書類がそろっており、内容に特に問題がなければ、申し立てを行うことができます。
・個人再生の流れ4:業者などから債権の届け出が行われる
申し立て時に作成した債権情報を債権者に確認してもらいます。
その時、債権の金額や有無に異議がないかが確認されます。
作成する債権情報で嘘を書いても、この段階で分かるのですべての債権情報を書き出すようにしましょう。
・個人再生の流れ5:再生計画案を作り提出する
債権者が確認した後の債権額をもとに再生計画案を作っていきます。
この段階では、法律で認められている借金額まで減らして返済計画を立てていきます。
原則としては3年で返済が終わるくらいのペースで計画案を作っていきます。
この時、無理のない返済計画を立てることが完済への近道となっています。
・個人再生の流れ6:再生計画案が認められ、計画に沿って返済していく
再生計画案通りに返済ができそうであれば、その計画は認められます。
逆に支払いができそうでない場合は不認可となることもあります。
計画が認められたら、その通りに返済をしていく必要があります。
途中で返済が滞ると再生計画の取り消しになることもあるので、注意してください。
取り消しになった場合は、債権者からの取り立ても元に戻るので、せっかく面倒な手続きが水の泡になります。
なので、返済だけは忘れないようにしてください。
2.個人再生が不認可になる4つのパターンを紹介!
一言で個人再生が不認可になると言っても、大きく分けると4つのパターンに分かれます。
それぞれで原因が異なるため、それぞれでポイントを抑えることで不認可になることを防げます。
その4つのパターンとは以下のようになっています。
- 申し立て時
- 書面決議開始時
- 書面決議時
- 認可決定時
- 確定後
3.個人再生の申し立て時に棄却(不認可)になるケース
個人再生に申し立てをした場合、開始決定まで2週間から1か月ほど時間がかかります。
どうして申し立てをしてすぐに開始決定にならないかというと、申し込み内容に不備がないかをチェックするためです。
その時に以下の項目に触れていないかどうかをチェックします。
- 無担保の借金の総額5000万円を超えている場合
- 再生計画を実行できる見込みがない場合
- 債務者が継続的に収入を得る見込みがない場合
- 不当な目的で申し立てをした場合
- 再生手続きの費用を用意できない場合
これらの場合に当てはまると裁判所が判断した場合には、申し立ての時点で棄却されます。
申し立ての時点で、借金状況や収入状況、支出状況などは大まかに判断できます。
開始決定後に詳しく調査されますが、申し立ての時点ではざっと見て個人再生の手続きをするのにふさわしい資格があるかどうかをチェックされます。
この段階でダメなようであれば、詳しい調査をされたときにどうせ不認可になるので、ある意味早めに分かったほうがいいのかもしれません。
4.個人再生の書面決議で廃止になるケース
個人再生では開始決定後、債権者による書面決議が行われます。
書面決議において、問題があると否決され、個人再生の手続きは廃止となります。
具体的にどんな場合に廃止になるのかと言いますと
- 再生計画案が期日までに提出されない場合
- 再生計画案に不備がある場合
- 財産目録に不備・不正がある場合
- 再生計画案が書面決議で否決された場合
特に気を付けたいのは、財産隠しです。
個人再生の場合、財産があると個人再生後の借金の返済額が増えてしまいます。
そのため財産を隠して借金を減らすことを考える人もいます。
しかし、この段階で財産があるかどうか、どの財産の価値はいくらなのかなどを厳しく調査しています。
なので、下手に財産を隠すとそれが原因となって個人再生の手続きができなくなります。
書面決議を行うかどうかは「小規模個人再生」か「給与所得再生」かによって異なります。
・小規模個人再生の場合
小規模個人再生の場合は再生計画案が債権者の決議で2分の1以上の反対があった場合、それは否決されます。
否決されると、再生計画案は廃止となり、もう一度個人再生をしたい場合には初めからやり直しとなります。
ただ個人再生がダメとなると、自己破産を選択する人が多いです。
債務者が自己破産をする方が回収できるお金が少なくなることの方が多いので、債権者はそこまで強く反対することはめったにありません。
・給与所得者再生の場合
小規模個人再生の場合は債権者の決議が必要でしたが、給与所得者再生の場合は不要で、認可が下りやすい個人再生の手続きとなっています。
というのも、債務者の可処分所得の2年分以上を返済するので、厳しい返済計画となっています。
債務者が可能な限り頑張って返済をするわけですから、それに対して異議を唱えてもそれ以上の返済は見込めないでしょう。
また、再生計画案を立てるにあたって、厳密な規定によって決められていくので債務者が意図的に数字を操作することはできないようになっています。
なので、債権者にとって不利な再生計画案が作られることはないのです。
給与所得者再生は小規模個人再生よりも借金の返済額が多くなることがあります。
どうせ個人再生の手続きで借金を減らすのであれば、給与所得者再生を選んだほうがいいと思います。
5.個人再生の認可決定時に不認可になるケース
書面決議で債権者に反対されなくても、最終的な判断は裁判所が行います。
不認可になるケースには以下のような場合が当てはまります。
- 借金の総額が5000万円を超えている場合
- 再生計画を実行できる見込みがない場合
- 債務者が継続的に収入を得る見込みがない場合
- 再生手続きまたは再生計画が法律違反しており、その不備を是正できない場合
- 再生計画決議が不正な方法によって成立した時
- 再生計画の決議が債権者の一般の利益に反するとき
- 再生計画に基づく返済額が決められている最低弁済額を下回っているとき
申し立ての条件と重なる部分がありますが、申し立て時よりもきちんとチェックしていると思ってください。
6.個人再生の認可後に取り消しになるケース
個人再生の認可が一度認められたからと言って、ずっと安心なわけではありません。
場合によっては、認可が取り消しになる場合があります
それは主に以下の2つのパターンです
- 不正を行って再生計画が成立した場合
- 再生計画通りに返済ができず滞納した場合
再生計画通りに返済ができなくなったら取り消しになるというのは分かると思います。
ただ1回でも返済に遅れたら即アウトになることはめったにありません。
返済が苦しくなった場合の対処方法もありますが、詳しくはこちらの記事に書いてあります。
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注意したいのは、1番の方で不正を行った場合です。
財産隠しなどが後になって発覚した場合、再生計画が取り消されるわけです。
うまく騙して再生計画が成立したとしても、そのあとずっと財産隠しがバレないか怯えながら返済していくことになります。
そういった不安を抱えながら返済するのも大変なので、不正は行わずに手続きをすることをおすすめします。
7.個人再生の手続きで不認可になるのを防ぐ方法とは?
ここまでで個人再生の手続きで不認可になるケースについて詳しく説明してきました。
専門的な知識も必要なので、なんだか大変そうと思うかもしれません。
しかし、基本的に弁護士に依頼して手続きをしていれば、まず認可が下りると思って大丈夫です。
平成28年度の個人再生手続きにおける廃止、不認可、棄却・却下の合計は3.3%です。
- 総数 8,242
- 再生手続き廃止 236
- 再生計画不認可 20
- 棄却または却下 17
- 取り下げ 275
- その他 29
※小規模個人再生における数字
なので、よっぽどのことがない限り、手続きに失敗することはないです。
ただ個人再生の手続きを自分で行おうとすると、かなり複雑ですし用意する書類も多くなるので失敗しやすいです。
なので、弁護士に頼むことをおすすめします。
8.個人再生の手続きで認可されない場合どうすればいいのか?
もし小規模個人再生で債権者から同意が得られなかった場合、給与所得者再生で手続きを行うことになります。
給与所得者再生であれば、債権者の同意なしで手続きを行うことができるので、個人再生の手続きができないということがほぼなくなります。
不認可事由に当てはまり、裁判所からの認可が下りない場合には、自己破産を選択することになります。
ただ実際には不認可事由に当てはまり個人再生ができないということはほとんどありません。
不認可事由は厳密に決まっているので、弁護士に相談をした段階で、おおよそ通るか通らないかの判断がつきます。
個人再生の認可が下りない可能性があるのに、手続きを行うなんて弁護士はいません。
なので、個人再生の手続きを行う前に、不認可事由に当てはまるかどうかは分かるので、認可されないかもしれないと心配する必要はありませんよ。
まとめ
個人再生では裁判所の認可が決定して、はじめて再生計画は効力を持ちます。
不認可事由はありますが、しっかりと再生計画案が作られているのであれば基本的には認可されると思っていいでしょう。
弁護士を通して個人再生の手続きを行うのであれば、基本的に認可されると思って大丈夫です。
個人再生を検討しているのであれば、とりあえず弁護士に相談することをお勧めします。
とはいえ、いきなり弁護士に相談するのはハードルが高いと思います。
そこで匿名無料で使える借金減額シミュレーターを使うことをお勧めします。
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利用したからと言って必ず依頼しなければいけないわけではないので、試しに使ってみることをお勧めします。