- 自己破産の陳述書は弁護士に書いてもらうことはできる?
- 陳述書に浪費やギャンブルのことは書かないほうがいいのか?
- 自己破産の陳述書に嘘を書いたらどうなるのか?
- 思い出せない箇所については陳述書を書かなくてもいい?
など気になることがあると思います。
そこでこの記事では自己破産の陳述書の書き方について詳しく説明していきます。
1.自己破産の陳述書の内容について
- 経歴等
- 生活状況など
- 借金を支払うことができなくなった事情
- 債権者との状況
- これまでの生活状況など
陳述書は申立人の現在の状況を把握するために必要な資料となります。
この資料が破産の手続き開始決定に大きく関わってきますので手を抜かずに書いていきましょう。
・経歴等
過去10年前から現在までのすべての経歴を順番に書いていきましょう。
会社に勤めている場合は勤務先の会社を書くというのは分かると思いますが、アルバイトも書いていく必要があります。
収入に関する経歴はすべて書いていくという感じです。
数日だけの短期バイトであれば記入漏れがあってもさほど問題ではありませんが、覚えているのであれば書いておきましょう。
次に現在の仕事について書いていきます。
記入する内容は、自営か勤めているか、給料の額や勤務先などを書いていきます。
その時はその数字が正しいものかどうかを確認するために以下の書類必要となります。
◆会社に勤めている場合
- 直近2か月分の給与明細のコピー
- 源泉徴収票または課税証明書のコピー
◆事業主の場合(過去2年以内に事業を営んでいたことがある場合も含む)
- 事業内容や負債内容、従業員の状況などに関する事業に関する陳述書
- 過去2年分の所得税の確定申告書のコピー(自営の場合)
- 過去2年分の事業年度分の確定申告書と決算報告書のコピー(会社の代表の場合)
ちなみに何年分の書類を提出するのかや提出する書類は裁判所によって異なる場合もあります。
なので、提出する際には裁判所や弁護士に聞いてから用意するのが確実です。
・生活状況など
家族や同居人に関することや居住状況について書きます。
持家を持っていないことを証明するために、賃貸借契約書や社宅使用許可書のコピーが必要となります。
また、他人の家に無償で済んでいる場合は、その家に住んでいることを証明するために居住証明書を家の所有者に書いてもらう必要があります。
・借金を支払うことができなくなった事情
- いつ借りたのか
- どんな業者から借りたのか
- いくら借りたのか
- どんな理由で借りたのか
- 借りたお金をどんなことに使ったのか
などを具体的に書いていきます。
日付も覚えているのであれば、書いた方がいいでしょう。
ここが破産の申し立てが認められるかどうかを判断するためのポイントになっているので、正確に記入していきましょう。
破産の申し立てが認められたいからと言って、嘘を付いてはいけません。
・債権者との状況
これまでに債権者と話し合いをしたのかどうか。
したことがあるのであれば、その内容を書きましょう。
また、訴訟や差し押さえがある場合もその内容を記載していきます。
・これまでの生活状況など
破産申し立てをするまでの申立人の生活状況を書いていきましょう。
自己破産をする段階で苦しい生活状況であることは予想できますが、自己破産後、再び同じような生活に戻らないためにもしっかりとどんな状況であるのかを書きましょう。
つらいかもしれませんが、頑張って書いてください。
2.自己破産の陳述書には浪費やギャンブルのことは書かないほうがいい?
自己破産においては浪費やギャンブルが原因の借金の場合は、免責不許可事由に当てはまります。
免責不許可事由に当てはまると、自己破産をしても免責が認められずに、借金を帳消しにすることができません。
なので、自己破産の陳述書に、浪費やギャンブルにお金を使ったことは書かないほうがいいのではないかと考える人も多いです。
しかし、だからと言って、嘘の情報を書いてはいけません。
浪費やギャンブルが原因の借金であっても、きちんと反省していることを示せば、裁量免責で借金をチャラにしてもらえる可能性があります。
なので、浪費やギャンブルで借金を作ったとしても、正直に弁護士に話して、そのうえで陳述書の内容を考えるようにすることをおすすめします。
3.自己破産の陳述書に嘘は書いてはダメ!
借金の原因に限らず、基本的に陳述書には嘘を書いてはいけません。
裁判所はたくさんの破産の手続きを行っており、嘘をついているかどうかを見抜くことができます。
下手に嘘をつくことで、免責が認められない可能性が高くなります。
破産法252条においても、虚偽の説明をした場合には免責が不許可になると書かれています。
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
八 破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
下手に嘘をついて、裁判所での面談で嘘がバレてしまったら、免責が認められないと思ったほうがいいです。
なので、どんな原因で借金を作っていたとしても、正直に自己破産を依頼する弁護士に話したほうがいいです。
そうすることで、対策をしたうえで、自己破産の手続きを進めることができます。
4.思い出せない部分は陳述書に書かなくてもいい?
どうしても思い出せない場合には陳述書にかけないので、仕方ない面もあります。
しかし、あまり具体的な内容が書かれていないと裁判官に指摘される可能性があります。
特に借金についての事情を書く部分についてはしっかりと記入する必要があります。
思い出せない場合には
- 通帳を見る
- クレジットカードの明細を見る
- 思い出の品や写真を見る
- 冠婚葬祭などの大きな出費がかさむ出来事がなかったか?
- 子供の学費に使っていないか?
- リストラや休職など仕事に問題はなかったか?
などを参考にして何とか思い出してください。
5.自己破産の陳述書を弁護士に書いてもらうことはできるのか?
自己破産の陳述書は主に破産者の状況を書くものなので、弁護士が代理で書くことはできません。
さすがにあなたの経歴や生活状況を知っているわけではないので。
陳述書を書く際に、弁護士の方から適切な質問をもらえるので、自分一人で書くよりも何倍も書きやすくなります。
自己破産に強い弁護士であれば、うまく思い出せるような質問をよく知っているのです。
ただあなたが書いた陳述書を弁護士に見せることで、免責が不許可になる可能性を減らすことができます。
不備があると自己破産の手続きを進めることも難しくなりますが、そういったミスも減らせます。
分からない部分があれば、弁護士に聞けば教えてもらえるので、弁護士を通して自己破産の手続きをすることをお勧めします。
また自分では自己破産をするしかないと思っていても、それ以外の方法で借金を整理できる場合があります。
借金の返済に困っているのであれば、一度弁護士に相談することをお勧めします。