- 自己破産をするとどんな職業や資格に制限が出るのか?
- 自己破産後の職業制限が解除される条件とは?
- 自己破産をしてから復権までにかかる期間はどれくらい?
- 復権の対象にクレジットカードの作成や住宅ローンの組むことは含まれるのか?
など気になることがあると思います。
そこでこの記事では自己破産の職業(資格)制限について詳しく説明していきます。
1.自己破産をすると一時的に職業や資格制限を受ける!
自己破産の申し立てをして、破産開始決定すると、一定の期間職業の制限を受ける場合があります。
多くの人は関係ありませんが、一部の職業の方にはその間働くことができなくなってしまうので、注意が必要です。
有名な資格や職業の制限を軽く紹介すると以下のような職業や資格があります。(細かい職業や資格の制限については後述しています。)
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
- 公認会計士
- 行政書士
- 生命保険外交官
- 宅地建物取引主任者
- 建設業
- 警備員など
資格制限がある状態ではその仕事を行うことができなくなります。
ただ資格を失うわけではないので、資格制限が解除されれば再び元の仕事に戻れます。
なぜこれらの職業は破産をすると、就くことができないのかと言いますと、破産法に制限があると書いてあるわけではなく、それぞれの職業における規定によって制限されています。
例えば、弁護士なら弁護士法によって破産者が就業できないようになっています。
制限を受ける職業や資格の特徴としては、お金や資産に関わる職業や資格となっています。
そのため一般的な会社員、医師、看護師、公務員などは制限されません。
なので、破産の手続きを行っても問題なく働き続けることはできます。
2.自己破産後の職業(資格)制限が解除される条件とは?期間はいつまで?
自己破産をして職業や資格に制限を受けたからと言っていつまでも働けないわけではありません。
制限が解除されれば、今まで通り働くことができます。
職業や資格の制限を解除されるには、復権が必要があります。
復権の条件には4つあり、その1つでもクリアすれば制限が解除されます。
- 免責が確定した時
- 破産手続き廃止の決定が確定した時
- 再生計画の認可が確定した時
- 破産手続き決定後、詐欺破産罪について有罪の確定判決を受けることなく10年経過した時
- すべての借金がなくなった時
参考:破産法
多くの場合では自己破産を行えば免責を認めてもらえるので、免責されて復権することが多いです。
破産開始の決定から免責が認められるまで3~6か月以上かかります。
なので、制限を受けてから復権までの期間も少なくとも3~6か月はかかると思った方がいいでしょう。
ちなみに復権すれば、今まで通り働くことができるので、安心してください。
・免責が認められないと復権も認めらえない
自己破産の手続きでは免責不許可事由に当てはまる場合には、免責が認められません、
※免責不許可事由には、ギャンブルの借金、浪費の借金、投資の借金、財産隠し、偏頗弁済などがあります。
免責が認められない場合は、復権も認められません。
そのため自己破産の手続きが終わっても仕事に復帰できなくなります。
詐欺破産罪でなければ、10年経過すれば復権します。
もしくは、すべての借金を自力で返済して、復権の申し立てを行う必要があります。
復権まで長い時間がかかるので、免責不許可事由に当てはまらないように注意しましょう。
もし職業制限を受けたくないのであれば、自己破産以外の方法で借金を整理する必要があります。
自分では自己破産をするしかないと思えるような借金でも、弁護士からすれば他の方法で借金が整理できる場合もあります。
なので、借金の返済に困っているのであれば、一度弁護士に相談することをお勧めします。
とはいえ、いきなり弁護士に相談するのはハードルが高いと思います。
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3.自己破産の復権の対象にクレジットカードやローンは含まれない
復権と聞くと、その感じが示す通り「権利が復活する」わけですが、復活する権利は職業や資格などの権利だけです。
よく勘違いしているのが、クレジットカードの作成の権利や住宅ローンや自動車ローンなどのローンを組むの権利が復活するということです。
クレジットカードやローンは、信用情報が傷つく(ブラックリストに登録される)ために、利用できなくなります。
これは自己破産による職業(資格)制限とは異なります。
なので、クレジットカードやローンについては、例え復権したとしても利用することは難しいです。
4.職業(資格)制限の一覧
・士業
資格 | 法令 |
弁護士 | 弁護士法第7条の5 |
司法修習生 | 司法修習生に関する規則17条1の3 |
弁理士 | 弁理士法第8条10 |
司法書士 | 司法書士法第5条3 |
土地家屋調査士 | 土地家屋調査士法第5条3 |
不動産鑑定士、不動産鑑定士補 | 不動産の鑑定評価に関する法律第16条3 |
公認会計士、公認会計士補 | 公認会計士法第4条5 |
税理士 | 税理士法第4条3 |
社会保険労務士 | 社会保険労務士法第5条3 |
行政書士 | 行政書士法第2条の2 |
中小企業診断士 | 中小企業診断士の登録及び試験に関する規則第5条3 |
通関士 | 通関業法第31条2 |
外国法事務弁護士 | 外国法事務弁護士記章規則第6条5 |
宅地建物取引士 | 宅地建物取引業法第18条3 |
・公務員の委員長や委員
資格 | 法令 |
公証人 | 公証人法第14条2 |
人事院の人事官 | 国家公務員法第5条3、第8条1 |
国家公安委員会委員 | 公安審査委員会設置法第7条1、第8条 |
都道府県公安委員会委員 | 警察法39条2の1 |
国際委員会委員 | ユネスコ活動における法律第11条 |
公正取引委員会の委員長及び委員 | 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第31条1 |
教育委員会委員 | 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条2 |
著作権等管理事業者の役員 | 著作権等管理事業法第6条5のロ |
地方公営企業等金融機構役員 | 地方公営企業等金融機構法第22条2の3 |
社会保険審査会委員長及び委員 | 社会保険審査官及び社会保険審査会法第24条1、第25条 |
農水産業協同組合貯金保険機構運営委員会の委員 | 農水産業協同組合貯金保険法第19条1 |
農水産業協同組合貯金保険機構運営委員会の役員(理事長・理事・監事) | 農水産業協同組合貯金保険法第29条2 |
市町村農業委員会の委員 | 農業委員会等に関する法律第8条4の1 |
土地収用委員及び予備委員 | 土地収用法第54条1 |
都道府県公害審査会の委員 | 公害紛争処理法第16条 |
預金保険機構運営委員会委員 | 預金保険法第19条 |
・団体企業の役員・委員
資格 | 法令 |
商工会議所会員 | 商工会議所法第15条2 |
商工会の役員 | 商工会議所法第35条8 |
商品取引所会員 | 商品取引所法第31条 |
商品取引所役員(理事長、理事及び監事) | 商品取引所法第49条 |
証券金融会社の役員(取締役、会計参与、監査役又は執行役) | 金融商品取引法第156条31 |
金融商品会員制法人の会員 | 金融商品取引法第95条 |
信用金庫等の会員 | 信用金庫法第17条3 |
信用金庫等の役員 | 信用金庫法第34条2 |
漁船保険組合の組合員 | 漁船損害等補償法第24条4 |
漁業信用基金協会会員 | 中小漁業融資保証法第16条3 |
船主相互保険組合の発起人、理事及び監事 | 船主相互保険組合法第17条3のイ |
日本銀行の役員 | 日本銀行法第25条1 |
政策委員会審議委員 | 日本銀行法第25条1 |
・その他の業種や職業
資格 | 法令 |
貸金業者 | 貸金業法第6条2 |
貸金業務取扱主任者 | 貸金業法第24条の27 |
貸金業者の政令で定める使用人 法人の場合の役員 | 貸金業法第6条10 貸金業法第6条9 |
割賦購入あっせん業者の役員 | 割賦販売法第33条2の6のイ |
質屋 | 質屋営業法第3条5 |
生命保険募集人及び損害保険代理店とその役員 | 保険業法第279条、280条 |
一般労働者派遣事業者とその役員 | 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律第6条3、第6条6 |
特定労働者派遣事業者とその役員 | 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律第17条 |
旅行業者 | 旅行業法第6条5 |
警備員 | 警備業法第14条 |
警備業者 | 警備業法第3条1 |
警備員指導教育責任者等 | 警備業法第22条の4の2 |
不動産鑑定業者 | 不動産の鑑定評価に関する法律第25条 |
一般建設業、特定建設業 | 建設業法第8条、第17条 |
建築士事務所開設者 | 建築士法第23条の4 |
建築設備資格者 | 建築設備資格者登録規定第6条 |
建築審査会の委員 | 建築基準法第80条の2 |
建設工事紛争審査会の委員 | 建設業法第25条の4 |
測量業者 | 測量法第55条の6 |
風俗営業を営もうとする者 | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第4条1 |
風俗営業の営業所管理者 | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第24条2の2 |
卸売業者 | 卸売市場法第17条 |
塩製造業者及び法人の代表者 | 塩事業法第7条3 |
塩特定販売業者及び法人の代表者 | 塩事業法第17条 |
塩卸売業者及び法人の代表者 | 塩事業法第20条 |
製造たばこの特定販売業者及び法人の代表者 | たばこ事業法第13条3、第17条 |
日本中央競馬会の経営委員会の委員 | 日本中央競馬会法第8条の7の1 |
日本中央競馬会の役員(理事長、副理事長、理事及び監事) | 日本中央競馬会法第13条 |
地方競馬全国協会の運営委員会の委員 | 競馬法第23条の21の1 |
地方競馬全国協会の役員(理事長、副理事長、理事及び監事) | 競馬法第23条の27の1 |
調教師、騎手 | 競馬法執行規則第22条1 |
競馬の実施に関する事務の受託者及び役員 | 競馬法執行規則第3条1、第3条8 |
国際観光レストラン | 国際観光レストラン登録規程第4条 |
有位者 | 位階令第6条 |
アルコール普通売捌人 | アルコール売捌規則第40条 |
宅地建物取引業 | 宅地建物取引業法第5条 |
マンション管理業 | マンションの管理の適正化の推進に関する法律第47条1 |
特定非営利活動法人の役員(NPO) | 特定非営利活動促進法第20条 |
・民法上の制限
民法上の制限 | 法令 |
代理人 | 民法第111条 (代理権の消滅事由) |
後見人 | 民法第847条 |
後見監督人 | 民法第852条 |
保佐人 | 民法第876条 |
補助人 | 民法第876条 |
遺言執行者 | 民法第1009条 |
まとめ
自己破産をすると、一部の職業の人は仕事をすることができなくなってしまいます。
復権をすれば再び働けるようになりますが、それまでの間はアルバイトをしてお金を稼ぐというのも視野に入れておいた方がいいでしょう。
もし職業(資格)制限を受けたくない場合は、自己破産以外の方法で借金を整理することをお勧めします。