- 自己破産をするときどれくらいの借金額が必要なのか?
- 自己破産するとき年収の何倍借金がないとできないのか?
- どれくらい借金があったら自己破産をしたほうがいいのか?
- 自己破産の可能額はいくらなのか?判断するポイントとは?
など気になることがあると思います。
そこでこの記事では自己破産をするときの借金額について詳しく説明していきます。
1.自己破産はいくらからできる?決定的な一つの条件がある
実は自己破産は借金があれば、誰でもできるものではありません。
自己破産をすれば借金を返さなくてもよくなるので、借り手としてはいいかもしれませんが、お金を貸した側にとっては大きな損害です。
損害を簡単に認めるというのは明らかに貸し手に不利なので、しっかりとした理由が求められます。
それで個人が自己破産をする場合、「支払い不能状態にある」ことが求められます。
破産法第15条によるとこのようになっています。
第十五条 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
2 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。
(法人の破産手続開始の原因)
つまり、分かりやすく説明すると借金の返済ができなくなった時に自己破産できます。
細かい基準を説明すると小難しくなりますが、自分の感覚で借金の返済ができなくなったというときには、たいていの場合自己破産することができると思って大丈夫です。
借金額がいくら以上なければいけない、年収がいくら以下でなければいけないなどの明確な基準はありません。
例えば借金が50万円しかなくても、病気で働けなくなり無収入になった場合には自己破産できます。
他にも年収300万円なのに借金が1億円あるみたいなケースも自己破産できます。
このように自己破産ができるかどうかはケースバイケースとなっています。
2.自己破産における支払い不能とは具体的にどういう状況なのか?
もう少しだけ支払い不能状態について詳しく説明します。
以下の3つの基準をすべて満たしているときに支払い不能状態となります。
・支払い能力の欠如
借金を支払うことができるだけの見込みがないことを指します。
単純に貯金や財産があるかどうかだけでなく
- 今後頑張って働いても返済できる見込みがない
- 財産があってもお金に変えることができない
- 債務者の信用や労力・技能を使ってもお金を調達できない
という場合なども含まれます。
仮に財産がなくても信用や技能などで借金を返済することができるのであれば、支払い不能とは言えません。
例えば、10万円ほどの借金であれば、普通に働いて返済することもできますし、副業で働いて返済することも可能です。
こういった場合は、支払い不能ではないので、自己破産できません。
ちなみに、信用によってお金を調達するといっても消費者金融などからお金を借りることは当てはまらないので注意してください。
また財産があったとしても、すぐにお金に換えられない場合も支払い不能となります。
例えば、土地や家やマンションなどの不動産は売ろうと思ってもすぐに売ることができません。
他にも骨董品や美術品なども売ろうとしてもすぐに売れるわけではありません。
そのためそういった財産があっても、支払い不能状態に陥ることはあります。
・履行期にある債務の弁済状態
将来の借金については対象外となります。
現在支払う必要のある借金が返済できないない状態にある場合に支払い不能状態にみなされます。
例えば、半年先に1000万円の取り立てがあるというだけでは支払い不能とはみなされません。
実際に今返済しなければいけない借金が返済できないことが重要になってきます。
・支払い不能が継続的、客観的である
支払い不能状態が一時的ではなく、今後も続くであろうことが客観的に判断される必要があります。
例えば今月の支払いはできそうにないが、来月の支払いなら何とかできるという場合は支払い不能に当てはまりません。
今月も無理で、来月も無理、再来月も無理という状態が支払い不能状態に当てはまります。
さらに支払い不能の状態というのは客観的な財産判断となります。
自分では生活を切り詰めていると思っていても、客観的にみて生活を切り詰めていると判断される必要があるのです。
例えば、今まで趣味に10万円使っていた人がそれを8万円に減らしたからといって生活を切り詰めているとは言えませんよね?
もっと大幅に減額してもなお、返済することができない状態である必要があります。
3.自己破産が可能な支払い不能の目安を紹介!
自己破産が可能な支払い不能であるかどうかの判断は、それほど簡単にできるものではありません。
債務者の財産、職業、年齢、性別など様々な事情を考慮して判定されます。
一つの目安としては、借金を分割払いにしたときに3年で完済できるかどうかが一つのポイントとなります。
3年の分割払いで返済できないと思われる場合には支払い不能と判断されます。
金利15%で3年で完済する場合の毎月の返済額を調べました。
借金 | 毎月の返済額 |
100万円 | 34,665円 |
200万円 | 69,331円 |
300万円 | 103,996円 |
400万円 | 138,661円 |
500万円 | 173,327円 |
もし3年の分割払いで借金を完済できるという場合には、任意整理で借金を整理することをお勧めします。
任意整理をすることで、借金の返済額を減らすことができ、今よりも借金の返済は楽になります。
4.自己破産できる借金額の目安はいくら?
3年で完済できるかどうかと言われても、いまいちイメージしにくいと思います。
そこで具体的にはどれくらいの借金額から自己破産できるかの目安を紹介します。
ただ一つの目安を紹介するなら、自力での毎月の返済の限界は「手取りから家賃を引いた額の3分の1」と言われています。
手取りから家賃を引いた額の3分の2が生活費となるのは結構苦しいと思います。
例えば、手取りが25万円、家賃が7万円の場合
1か月に使えるお金=25万円ー7万円=18万円
1か月の返済額の限界=18万円÷3=6万円
毎月6万円を超えるような返済をしなければいけない状態に陥っている場合は、自己破産を検討したほうがいいです。
5.自己破産が可能な支払い不能状態には年収は関係なし
年収がいくら以上ある人は自己破産できないということはありません。
仮に年収が600万円ある人でも、1000万円近く借金があれば自己破産することはできます。
借金額によって、自己破産できるかどうかというのは変わってきます。
その時の一つの目安としては、借金総額が年収の2~3倍を超えている場合には自己破産することが多いです。(消費者金融などの高金利の場合)
借金額が年収の2~3倍となるとさすがに自力での返済がほぼ不可能になります。
・まとめ
支払い不能の状態は客観的に判断されるもので、厳しい条件が付いています。
しかし、借金の返済が苦しくてどうしようもないという場合には、基本的には自己破産ができると思って大丈夫です。
自己破産を安易に選択する人はあまりいませんからね。
支払い不能になる前の段階でも、任意整理や個人再生を選択することもできます。
任意整理や個人再生をすれば、借金を減額して、返済が楽になります。
あなたの現在の状況でどの債務整理方法を選ぶべきかは、弁護士に相談するのが一番です。
もし支払い不能状態でないと判断されたときでも他の債務整理の方法で借金を整理するという手もあります。
あなたは自己破産するしかないと思っていても、自己破産する必要がないケースもあるんです。
本当に自己破産する必要があるのか気になるなら、とりあえず借金減額シミュレーションを使っていくら借金が減るのかだけでも調べることをお勧めします。