- 自己破産で財産や給料の差し押さえなどの強制執行を停止できるのか?
- 強制執行で給料を差し押さえられた後でも解除できるのか?
- 公正証書による強制執行は自己破産で無効にできるのか?
など気になることがあると思います。
そこでこの記事では自己破産の強制執行について詳しく説明していきます。
1.自己破産すれば財産や給料の差し押さえなどの強制執行を停止できる?
自己破産をする前に長期間借金の滞納をしていると、財産や給料などが差し押さえられることがあります。
強制執行となると、問答無用にお金が没収されてしまうので、それを防ぎたいと考える人は多いです。
自己破産をすることで、強制執行による差し押さえを停止させることはできるのでしょうか?
基本的には自己破産の開始決定後には強制執行による差し押さえができなくなります。
そのため借金の滞納をして債権者に訴えられたという場合でも、自己破産をすることで強制執行を止めることができます。
ただ細かい差し押さえの停止の条件は異なるので、それぞれについて詳しく説明していきます。
2.強制執行後いつまでなら自己破産しても取り消すことができるのか?
例えば、借金を滞納していて財産を差し押さえられてしまった場合に、自己破産をすることで財産の差し押さえをなかったことにできるのでしょうか?
自己破産の直前に行った強制執行の場合は、否認できる可能性があります。
自己破産をするときには「特定の債権者だけに返済を行う」偏頗弁済することは禁止されています。
強制執行による債権の回収が偏頗弁済に相当すると裁判所が判断した場合には、その強制執行は取り消されることになります。
ただあくまで取り消すことができるのは、自己破産をする直前に限った話です。
具体的な時期を言いますと、弁護士に自己破産の依頼をして受任通知を送った後の強制執行は否認される可能性が高いです。
なので、受任通知を送った後に強制執行を行ってくる可能性は低いです。
弁護士に正式に依頼するよりも前の強制執行は有効とみなされ、否認することはできません。
強制執行は借金の裁判を起こされた後になります。
もし裁判を起こされている場合には、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
・弁護士に依頼しても1年以上自己破産しない場合は差し押さえの可能性がある
弁護士に依頼をすれば強制執行を止められますが、長期間自己破産しない場合には差し押さえが実行されても否認されない可能性があります。
第百六十六条 破産手続開始の申立ての日から一年以上前にした行為(第百六十条第三項に規定する行為を除く。)は、支払の停止があった後にされたものであること又は支払の停止の事実を知っていたことを理由として否認することができない。
引用:破産法
1年以上も自己破産の手続きを進めないことはめったにないと思いますが、自己破産をする予定がないのに弁護士に依頼しても意味がないと思ってください。
自己破産する予定があるのであれば、とりあえず弁護士に依頼して強制執行を止めるのは有効な手段です。
3.自己破産前の強制執行による給料の差し押さえを停止できる?
強制執行の中でも給料の差し押さえの場合、一度の差し押さえで借金全額を回収できるとは限りません。
4分の1の給料を継続的に回収することで、返済していくという形になることも多いと思います。
自己破産直前に差し押さえられたわけではない場合、ずっと差し押さえが続くのでしょうか?
自己破産することで、給料の差し押さえを停止できるのでしょうか?
結論を言いますと、自己破産をすることで給料の差し押さえをストップさせることができます。
ただ再び給料が全額振り込まれるようになるかは、破産の手続きによって異なります。
・管財事件の場合
管財事件の場合、自己破産開始決定の時点で強制執行は「失効」になります。
強制執行がなかったことになるため、自己破産開始決定後の給料の差し押さえはなくなります。
すぐに給料全額が受け取ることができるようになります。
・同時廃止の場合
同時廃止の場合は、自己破産開始決定の時点で強制執行は「停止」となります。
ここが少し厄介なところで停止の場合、強制執行の効力が完全に失われるわけではないので、差し押さえ分はいったん保留になります。
給料の4分3しか受け取ることができるものの、残りの4分の1は会社で留保するか、供託所に預ける形になります。
自己破産の手続きをしてもすぐに給料全額受け取ることができるわけではないということです。
ただ保留になった給料も残額戻ってくるので、損するわけではありません。
残りの4分の1の給料については、自己破産の免責確定後に渡されることになります。
いずれの場合にしても、自己破産をすることで給料の差し押さえは停止させることができます。
同時廃止の場合でもいずれは戻ってくるので、給料を取り上げられたくなければ、早めに自己破産の手続きを行うことをおすすめします。
給料の差し押さえがあり、借金の返済も苦しくなってきたという場合には、自己破産をするのを真剣に検討することをお勧めします。
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4.自己破産で公正証書による強制執行はどうなる?
公正証書は裁判所の判決と同じ効果を持っているので、万が一支払を滞納したら強制執行によって差し押さえすることができます。
自己破産をする前に公正証書を作成していた場合、その公正証書の効力はどうなるのでしょうか?
その答えは、自己破産によって公正証書の効果もなくなります。
つまり、自己破産をして免責が認められれば、支払い義務がなくなるというわけです。
自己破産では公正証書で決められた借金を含めて免責でなしにできるというわけです。
自己破産には借金で苦しんでいる人を救済するという目的もあるので、過去の判決によって債務者を苦しめるようなことがあっては意味がなくなってしまいます。
なので、仮に公正証書を取られた借金があったとしても自己破産をすることで強制執行されることなく帳消しにすることができますよ。
・まとめ
自己破産の手続きをすれば、強制執行を止めて財産や給料の差し押さえを防ぐことができます。
強制執行が行われる前であれば、任意整理などの他の債務整理でも止められる可能性があります。
任意整理を行うというのは「債権者に対して借金の元本は返済しますよ」という意思を見せることになります。
債権者としても借金を支払う意思があるのであれば、無理に裁判で争う必要性がありません。
そのため裁判の申し立てを取り下げてもらうこともできます。
借金の状況によっても変わりますが、強制執行の前であれば自己破産以外の方法で借金を整理できる可能性もあります。
本当に自己破産する必要があるのか気になるなら、とりあえず借金減額シミュレーションを使っていくら借金が減るのかだけでも調べることをお勧めします。